地域についてメモ 地域社会の方法論的基盤 社会学的アプローチ

 地域社会の方法論的基盤 社会学的アプローチ P52〜

農村的地域社会としての地域共同体の崩壊と都市的地域社会の誕生という新たな地位社会問題が発生し、その解決のため誕生したのが地域社会学的アプローチである。

 地域社会は近代化によって前近代社会における農村型の閉鎖的な地域共同体から都市型の開放的な社会(コミュニティ)へと転換していったと捉えるのが一般的である。

 マッキーヴァーによれば近代化・資本主義化により農村社会を基盤として自然発生的に形成された地域共同体としてのコミュニティーが空洞化し、共同の関心・利害・目的の追求のために形成される人為的な人間下都合としてのアソシエーションを対置概念として取り上げた。コミュニティーとは人々の共同生活が営まれている一定の地域の存在であり、一定の地域に共に居住し生活の諸側面において相互に接触することによって共同生活としての社会的特徴をもたせ、一定の包括性や自足性をもった社会ということである。特徴として、社会的類似性、共通する社会的概念、共通の慣習、共属感情があげられる。されにコミュニティーの条件として地域性と共同社会感情(意識、役割感情、相互依存感情)の2つを指摘する。

 都市と農村を独立した社会として捉え、両者の特異性を強調する考え方がある。ゲマインシャフト(農村)とゲゼルシャフト(都市)という対比に顕著に現れているだろう。この見方は都市的な特徴と農村的な特徴が独立して考えられてしまっているため地域社会の現実分析のための価値基準として単純化しすぎて妥当性があるとはいえない(らしい)
 ソローキンとジンマーマンは農村と都市を理念型と認識した上で、両者の連続性・過渡的形態を分析した。しかしこれは都市と農村の構造的連関を解明し得ないまま現象的ナ把握にとどまるという批判がある
 リージョン(地方もしくは広域的地域)を基調としたリージョナリズムを確立したのはオーダムである。内容は、偏狭な局地主義や地方中心主義から脱却して、広い展望をもった総合的視野に断つものでなくてはならず、地域の全体的統合と均衡・文化的調和および有機的成長に関心を払い、単に地域研究するだけでなく地域を資源と文化の面でより良きものにしなければならない。などとされる

 日本では昭和40年ころから、地域社会の課題は地域社会生活における生活環境の維持だけでなく、人間性回復の場としてのコミュニティの再編成に焦点が転換された。さらにこれまでの行政主導ではなく住民・市民が参画していくという意味でのコミュニティ形成という問題が提起されるようになった。しかしこの当時は理想論ばかりで現実の地域社会をどうやって構築していくべきかという方法論が欠落していた。
 そこで近年の地域社会への社会学的アプローチの中でも伝統的なコミュニティの機能(地域性・共同性・相互作用)を社会システム的側面、政策的側面から再検討しコミュニティ研究の原意実的有効性を主張する金子の考えを分析していく。

 ウォーレンはコミュニティの機能分析の方法として経済的・教育的・社会統制・社会参加・相互援助機能といったコミュニティを維持していくための社会的機能を提示することによって、コミュニティの減退的機能を理解していく上での基準としている。
 このような社会的機能の充足を前提とした上で金子はコミュニティをコミュニティ住民の欲求を充足させるためのサービスシステムとして位置づけ、サービスを執行していくための地域社会計画や政策が必要であるとしている。

サービスシステムとしてのコミュニティ
・コミュニティには3つの要素(物財・関係・意識)から構成される
・コミュニティは社会的資源の加工によって生み出されるサービスの供給システムである。
更にコミュニティ形成のためにグッド・コミュニティの課題を前提とした上で望ましい地域づくりとしてのグッド・コミュニティの要素を提示し、地域の主体たる住民のニーズをどのような形で実現していくべきかを分析している。