地域についてのメモ2-地域とは何か

地域とは何か―日本においては市町村や、もうちょっと小さめの町内会や自治会として捉えられているのが一般的。この定義で私も進めるだろう。
 コミュニティーを「地域社会の現代的表現」としている観点に立てば、地域性や共同性に加えて主体性、すなわち居住する市民としての自主性や主体性や責任を持った住民が地域に対して持つ共通の帰属意識・目標・活動を志向する態度が現代的特質としてあげることができる。
 現代における地域社会概念とは行政的範域を基礎とし、市場原理による経済・生活行動範域を動態的地域範域とが重層化したなかの住民・市民が自らの主体性、自主性、責任を自覚して共通の意識・目標活動をもって地域社会に参加していく、地域政治・経済・文化・社会の構造連関的な動態的社会システムである。


地域思想
 産業化による物質的価値観優先型の現代の弊害を憂慮し、人間的価値の再発見の必要性を提起したのが「地域主義」の考え方である。地域主義思想は国家主導型の地域社会支配や効率主導主義型の産業に代表されるシステムに対抗する思想・運動である。(地域主義は日本では玉野井らが研究を始める)こうした思想が台頭してきた背景には既存のシステムにおける経済政治文化の各側面の限界が噴出してきたことが指摘される*1さらに既存のシステムの打破のために地方分権的社会システムの必要性、住民福祉の充実化、大衆消費社会から多様な生活設計や文化の尊重、住民参加型システムの構想が模索される
 Wholismとしての地域主義
工業化により自然は破壊され人間生活と自然環境のバランスが崩れた。他方、専門化の進展により全体としての相互連関を見失われるようになってきた。更に工業化・都市化が進むにつれモビリティーは拡大し統合的な生産=生活空間である地域社会の解体が進んだ。このことからホーリズムとしての地域主義とは、全体と個の中間に位置している地域社会を媒介していくための新しい社会システムとして構築していくことである。
 清成忠男は地域経済の自立的発展による地域主義を主張。中間構造・中間組織・中間階層・中間技術という4つの連関性が地域主義による社会の再組織化を可能とするとしている*2
 今までの企業誘致型の外発型に対して地域の資源、労働力、伝という技術などの地域内資源を活用するくおとによって発展を遂げていこうとする内発的地域振興論が登場する。―この発想から地域ブランドが生じたと考えられる。
 地域主義の課題?
地域主義は単なる理念・思想ではなく、現代社会の再構造化、再組織化を目指す戦略である。

*1:金子1989

*2:詳しくは松野P44